郊外住宅地 再生フォーラム2018

-住民、企業、行政らによる多主体共創の取り組みに向けて-


 首都圏や関西圏等の郊外住宅地は、人口減少と少子高齢化が顕著となっており、空き家空き地の管理や住み替えニーズの顕在化、地域包括ケアシステムの構築や劣化した子育て環境の再生など、多様な問題・課題が集積している。その対応には、地域住民はもちろん、民間企業、自治体行政、まちづくりNPO、大学などの多様な主体の連携が必要となる。

 こうした多主体の連携による共創的な住宅地再生の取り組みに向けて、本フォーラムでは、各地の郊外住宅地で再生に取り組む関係者を招き、郊外住宅地の現状と現在までの取り組みの到達点ついて、共有した。

日時:2018年3月30日(金)16:00-19:30

場所:東京大学工学部14号館141教室

主催:都市住宅学会郊外住宅地再生研究会、

   日本建築学会関東支部住宅問題専門研究委員会

 <プログラム>

【事例報告】

 ・こま武蔵台(埼玉県日高市)

:樋野公宏(東京大学 准教授)、進藤武仁(こま武蔵台福祉ネット)

 ・季美の森(千葉県大網白里市、東金市)

:室田昌子(東京都市大学 教授)、高野修一(株式会社東急不動産R&Dセンター) 

 ・緑が丘団地(兵庫県三木市)

:脇濱直樹、廣瀬雄一(大和ハウス工業株式会社)

 ・上郷ネオポリス(神奈川県横浜市栄区)

:園田真理子(明治大学 教授)、瓜坂和昭(大和ハウス工業株式会社)

【ディスカッション】

 コメンテーター:大月敏雄(東京大学 教授)

 司会:小泉秀樹(東京大学 教授)

  当日は100名超に及ぶ方に参加していただき大盛況であった。後半のディスカッションでは各団地の事例紹介を受けて、それぞれの団地に共通する課題に関しての話題から、参加者の質問を絡めた話題へと発展し、非常に活発な議論になった。 


見学会:鳩山ニュータウン(埼玉県鳩山町の戸建て住宅地)


 東京都心から50kmに位置する戸建て住宅団地であり、最寄り駅まではバスで15分の遠郊外である。最初期の分譲から40年超を経ており、高齢化と人口減少に伴う地域の弱体化が進む、典型的遠郊外の住宅地である。その課題に対応すべく、鳩山町をあげて取り組まれた事業が、大変ユニークである。

 1つは閉校した小学校跡地に作られた複合福祉拠点、もう1つはスーパー撤退跡地に整備された、団地内での仕事創出と空き家活用による移住支援を行うコミュ二ティマルシェだ。

 見学会では、分譲期別の特色ある団地計画や、新たに整備された福祉拠点を一通り案内していただいた後、コミュニティマルシェの運営者でもある藤村氏に、鳩山町を含む一連の郊外住宅地再生プロジェクトをご紹介いただいた。

    日 時:2017年12月10日(日)13:00~16:00

    会 場:鳩山ニュータウン

    主 催:日本建築学会 関東支部 住宅問題専門研究委員会

    構 師:藤村龍至 氏(東京芸術大学 准教授・株式会社RFA)

 また後半は、コミュニティマルシェのコーディネーターでもあり、団地内に移住してアーティスト活動を行っている菅沼氏による取り組みもご紹介いただいた。自宅の一部を改装し「ニュー喫茶 幻」を住み開きで行う試みだ。

 詳細は、住宅地Archivesを参照されたい。

 当日は、22名の方にご参加いただきました。鳩山町の職員の方にも同行いただきました。誠にありがとうございました。


見学会:新狭山ハイツ(埼玉県狭山市の分譲集合住宅団地)


 分譲後40年以上を経た分譲集合住宅団地で、駅から徒歩25分の決して便利とはいえない立地にある。住民の高齢化と建物の老朽化という、いわゆるオールドタウン化が進む住宅地ではあるが、長年の活発なコミュニティ活動を軸に、これらの課題に独自の方法で取り組んできた団地である。

 今回は、建物の長寿命化、および住民コミュニティの活性化というハード・ソフト双方の取り組みの歴史について、団地住民によるNPOの代表理事・毛塚氏よりご紹介いただいた。また近年、当NPOとタッグを組み、団地のブランディング事業を展開している山本氏から、空き部屋を活用したリノベーションや、空き部屋バンク等の取り組みについてご紹介いただいた。

 後半は、シェアハウスとして利用されているリノベーション住戸の見学や、空き部屋活用を進める目的で開設された「空き部屋モデルルーム」を見学した。

    日 時:2017年10月22日(日)13:00~16:00

    会 場:新狭山ハイツ集会所、リノベーション事例の見学

    主 催:日本建築学会 関東支部 住宅問題専門研究委員会

    構 師:「新狭山ハイツにおけるマンション長寿命化と

             コミュニティ・マネジメントの取り組み」

         :毛塚宏 氏(NPO法人グリーンオフィスさやま・代表理事)

        「新狭山ハイツ・ブランディングプロジェクト」

         :山本誠 氏(団地生活デザイン)

 当日は、台風上陸前の悪天候にも関わらず、20名の方にご参加いただきました。誠にありがとうございました。